症例3 喘息発作により急性呼吸不全となったが、加療後安定期に移行した喘息因子を有する症例 | |||
73歳 女性 | |||
主 訴: | 喘鳴、呼吸困難 | ||
既 往 歴: | 特になし | ||
家 族 歴: | 特になし | ||
喫 煙 歴: | 33歳から73歳まで1日20本、80pack years | ||
現 病 歴: | 10年前よりF-H-J Ⅱ度程度の労作時呼吸困難があり、時に喘鳴と呼吸困難を伴っていた。当院受診1ヶ月前に風邪を引いたあと、少しでも働くと呼吸が苦しく、喘鳴を伴うようになり、近くの病院を受診し、気管支喘息として入院することになった。酸素吸入とともに、アミノフィリンの持続静注とセレベントとフルタイドの定期的な吸入治療が行われたが喘鳴・呼吸困難は改善されず、入院中に当院を受診した。体重58kg、身長149cm、来院時の血圧145/83、脈拍毎分73回、毎分25回以上の頻呼吸で顔面、四肢は浮腫状でチアノーゼを認めた。発育は良好、胸郭は樽状で副呼吸筋は腫大、緊張しており、横になると呼吸苦は増大した。Jugular切痕は1横指と短縮している。酸素飽和度92%で会話は断続的であった。聴診上呼吸は微弱であるが、吸気と呼気にまたがって高ピッチの喘鳴を聴取した。心音は清でギャロップなどを聴取せず、心尖部は乳頭線上にあり、拍動は触知しなかった。呼吸苦のため呼吸機能検査は実施できなかった。胸部X線上肺は過膨張で、横隔膜は平低化している。 | ||
心 電 図: | 異常所見を認めない。 | ||
末梢血所見: | 白血球数7,900/μL(好中球70%、好酸球8%、リンパ球18%)、非特異的IgE 850IU/mL、CRP 0.3mg/mL | ||
治 療: | 上記の所見より喘息因子を伴うCOPDも急性発作として100%酸素2Lを投与しつつメチルプレドニゾロン125mgを静注した。プレドニゾロン1日20mgを7日間連続経口投与し、以後フルチカゾン400μg1日2回とチオトロピウム1日1回1カプセルの連日吸入を行い、1ヶ月後には呼吸状態が安定化した。 | ||
安定期の呼吸機能(括弧内はサルタノール吸入後): | |||
酸素飽和度 96%(room air)、FVC 2.11L(2.39)、FEV1 1.18L(1.26) FEV1% 55.29(52.71)、PEF 3.21L/s(3.62)、V25 0.17L/s、V50 0.57L/s(0.48) FEV1の可逆率 6.8%、%FEV1 73.75 安定期の治療としてチオトロピウムの連日吸入を持続し、現在も呼吸状態は安定している。 |
|||
問 題 点: | 1. COPDの喘息因子とは? 2. COPDの喘息因子の臨床、検査所見は? 3. 聴診所見は? |
||
<閉じる> |